死亡後に確定した退職手当金に相続税はかかりますか?【新潟相続専門税理士ブログ】
Question
私の夫は今年の6月にA社を退職しましたが、8月に風邪がもとで急死してしまいました。
夫はA社の役員をしていたため、退職金の支給は10月に開催された取締役会で決議されました。
このような場合、私が受け取った退職金には相続税が課税されるのでしょうか。
Answer
被相続人が生前退職し、退職手当金の支給が被相続人の死亡前に確定しておらず、死亡後3年以内に確定したものについては、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。
相続税法には、上記のような退職手当金を相続人その他の者が支給を受けた場合には、その支給を受けた者が相続又は遺贈により取得したものとみなす旨が規定されています。
被相続人が亡くなった後に支払いが確定した手当金とはいえ、元は被相続人のこれまでの勤務により支給されるお金であるため、実質的には被相続人が形成した財産となります。
これは、被相続人の死亡退職に伴う退職手当金についても同様です。被相続人本人ではなく遺族が会社から直接もらうものであるため、死亡時点の本人の相続財産ではありません。
しかし、この退職手当金は「死亡」に起因して生じる財産である点で、相続財産と実態が同じであると捉えられ、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。
ちなみに、既に確定していた被相続人の生前退職に係る退職手当金等の額の全部または一部が、被相続人の相続開始時に未支給であった場合、この退職手当金等はみなし相続財産ではなく本来の相続財産となります。
また、今回の質問のような被相続人の死亡後に支給される退職手当金は遺産分割の対象となりません。
このような退職手当金は、遺族の生活保障を目的としていると考えられているため、受取人固有の権利とされます。遺産分割協議書への記載も不要で、退職手当金は社内規程で定められた受取人が受け取ることとなります。
今回のように、相続税の算出をする際は本来の相続財産に加えて、みなし相続財産もふまえる必要があります。ご自身で判断が難しい、複雑と感じた場合にはぜひご相談ください。
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